マシュマロテスト(平成26年度修了式校長式辞)

   
   

 本日、修了式式辞で、「マシュマロ・テスト」という話をしました。
 最初に、4分間のビデオを視聴しました。
 内容は、4歳の子どもの前に1個のマシュマロを置き、子どもがどんな反応を示すかを観察したものです。アメリカのビデオなので、英語科の堤先生と増田先生に同時通訳を依頼しました。

  平成26年度修了式校長式辞
 
  先ほど見てもらったビデオが、「マシュマロテスト」という実験です。
 マシュマロ・テスト(実験)は、1969年にアメリカのスタンフォード大学で行われた心理学の実験です。4歳の子どもの目の前に1個マシュマロを置きます。 そして、実験者が、「ちょっと出てくるね。私が戻ってくるまで食べるのを待ってたら、もう1個マシュマロをあげるね。でも、我慢ができなかったら、食べてもいいよ。」と言って部屋から出て行きます。
 目の前のマシュマロ。  すぐに食べれば、確実に1個、口にできる。  しかし・・・我慢すれば、合計2個、食べられる!
  この間の子供たちの行動をつぶさに観察した実験が、「マシュマロ・テスト」です。スタンフォード大学では、この実験を500人余りに行いました。
 その結果、
 3分の1の子が、実験者が立ち去ったらすぐに食べてしまい
 3分の1の子が、我慢していたけど、我慢しきれなくなって途中で食べてしまい
 3分の1の子が、15分という長い時間我慢し、2個目をもらいました。

 スタンフォード大学では、その子どもたちが青年になったときの追跡調査を行いました。
 その結果、まず、学習面で大きく差が出たそうです。SATというアメリカの大学進学適性試験の平均点で、210点もの差がついたそうです。また、我慢して食べなかった子供たちのほうが、食べてしまった子供以上に、大人になって出世していたり、収入の平均値が、圧倒的に高かったということでした。さらに、人間関係や行動力・判断力など、社会性などの面でも優れていたそうです。  
 この実験は、厳密に科学の実験と呼べるか分かりませんが、この実験から、私たちが学ぶことはたくさんあります。  
  それは、子供時代の我慢強さ、辛抱強く取組むことが、その後の人生に大きな影響を与えるということです。 マシュマロ・テストでは、我慢ができるということは、時間が遅れてやって来る報酬の大きさ(実験では、もう1つ食べることができましたね)と、その時間の遅れを予測して行動(自分を律する)できるかということです。
 マシュマロを食べずに我慢した子供たちは、「楽しみは取っておく、そうすれば楽しみは2倍になる」と考えていました。つまり、自制心が高いということです。この自制心の高さが、将来の成功においてとっても重要だということです。 ただし、「我慢する」ということは、歯を食いしばって誘惑に耐えるということではありません。 「関心を他に向けてみる」ということです。関心を他に向けることによって、想像したり、考えたりします。そうすることによって、誘惑に負けない様々な力が鍛えられるのです。 実際のマシュマロ・テストでも、我慢ができた子どもは、テーブルから背を向けたり、手で顔を覆って、マシュマロを見ないようにしたり、手をたたいたり、指で数を数えたり、簡単な体操をやってみたりと、それぞれの方法で、自分の気持ちをマシュマロからそらそうとしていました。  
 自分が選んだより良い結果を実現するためには、「意志の力」が必要です。意志の力とは、「やる力」、「やらない力」、そして「望む力」を言います。 「望む力」とは、「目標のために自分を仕向ける力」とも言えます。 どうでしょうか。このように考えると、もはやマシュマロのことばかりではありませんね。  
 今日は宿題がある。試験前だ、勉強しなくては。みなさんの「やる力」はどれくらいでしょうか。反対に、友達の悪口を言ってしまう。ラインに不適切な書き込みをしてしまう。みなさんの「やらない力」はどれくらいでしょうか。そして、なりたい自分、将来の夢のために努力する。みなさんの「望む力」はどれくらいでしょう。 ちょっと我慢する。目の前の課題を少し頑張って克服する。そうすると、 将来の目標の実現につながります。
 ここにいる長中生は、目の前の1個のマシュマロを我慢して、より大きな目標を達成できる人になってもらいたいと願っています。  
 最後に、皆さんが、満開の桜の中で、新学期、また元気な姿で登校してくれることを願って、平成26年度修了式の式辞といたします。

                      平成27年3月26日
                      行田市立長野中学校長 柏瀬 裕之

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